ニプロンのATX電源でPCオーディオの音質は変わらないのか?
PCオーディオで最も音質に影響を及ぼすパーツは?
PCオーディオをしているとよく聞くのが、
デジタル不変の法則により” PCのパーツ交換したぐらいで音質には影響しない。”ということ
私は自作ができる程度しかパソコンには詳しくありませんから、どのようにオーディオ信号が処理されているか全くわかりません。しかし、自作したPCでもマザーボードが違えば微妙に変わってきますし、CPUの違いでもだいぶ変わってきます。ハードだけでなく再生ソフトはもちろんOSが変わるだけでも、何ならOSのプロセスカットするだけでも音質はコロコロ変わってしまいます。
理屈で○○だから変わらないというのは簡単です。だがしかし、交換して変わる以上理屈で説明できなくても変わるのは事実なので仕方ありません。だったら音質向上することはとことんやるべきですよね?
昔からPCオーディオで人気だったシーソニック製の電源は以前私も使ったことがあり、電源容量も相まってかなりの変化を感じました。現在使用中の電源は中古で仕方なく手に入れた400Wの電源なのもあり、思い切ってニプロン製に交換してみることにしました。
購入したmPCSA-500P-X2S、医療安全規格に適合したATX電源。
さて音はどのように変化したのでしょうか。続く
ニプロン電源のデメリット
いきなりデメリットから紹介してしまいますが、自作PC界隈では言わずと知れた“ニプロン電源はファンがうるさい”です。
最近は80+の高効率電源が主流でその分発熱が少なく、ファンも低回転で済むのがほとんどでとても静かなものが多いです。ニプロンでも80+の製品やファンレスの製品もありますが、容量が少なくオーディオでも通用するかは何とも言えません。
PCオーディオで電源容量は少なくても十分再生は可能ですが、容量が少ないと低音など力強さが欲しい音楽などでは軽く感じてしまいます。この界隈では何故かノートPCを使う方が多いですが、ACアダプターの貧弱な容量の電源よりデスクトップで500W以上の電源のほうが圧倒的に高音質です。低音もそうですが、聞こえるかどうかの細かい音の音の存在感が際立ってきます。細かい音が楽器のニュアンスや音場や定位に影響してきますので、電源容量はかなり重要です。
また、PC自作されている方は分かると思いますが、PCで一番故障が多いのがATX電源です。当然ながら一番負荷がかかる部品ですし、熱の影響で電解コンデンサがヘタリやすいため消耗が激しいです。
ある程度自作PCやオーディオをかじると良く聞くのがコンデンサの劣化があります。PCは発熱が多いので105℃品が使われていますが、発熱が多ければ多いほど劣化も早くなります。劣化したコンデンサは容量も減り故障の原因にもなります。オーディオでもコンデンサが劣化すれば音質が悪くなることは知られています。
なのでPCオーディオではできるだけ容量が大きめの新品を使うようにしましょう。
電源ファンをどうするか?
ニプロン電源は構造上ファンの交換は容易です。が、交換用ファンは用意されていませんし、交換は保証されていません。一応ファンスピードは2パターンのスイッチ切り替えができます。フルスピードと低速可変の2つです。
元々付いてるファンが4000回転ぐらいするであろうファンの為低速モードでも五月蠅いです。しかも8㎝なので風量も少ない。
付属していたのは日本電産のNidec D08A-12PS1
手持ちのCFY-80USに変えてみる。コネクターが特殊なのでケーブルごと交換。薄いタイプなのでゴム板で押さえる。
回転数が2500RPMなので低速で使うが風量が足りない気がする。
とてもオーディオで使える騒音レベルではないので交換することにしました。
用意したのはAINEX OMEGA TYPHOON 超静音タイプ [ 80mm角 ] CFZ-80SAです。
回転数が1400RPMなのでフルスピードで回しています。最大風量 / 騒音値 : 18.35 CFM / 11.7 dB(A)で何とかオーディオで使えるレベルになりました。
出力用電源用ハーネス
ニプロン電源はプラグイン方式のハーネス(ケーブル)になります。ATX24ピン、ATX12V、SATA電源、PCI、等各種用意されています。しかし、今回はオーディオ用なので自作することにしました。
PCで使われているケーブルはUL1007という規格品でスズメッキ線の撚線でビニル被覆になっています。定格が300vの耐熱温度が80℃になります。これと同等かこれ以上の品質であれば使えるでしょう。
最初選んだ線材は102SSCでUL規格3398です。が、全てのハーネスに使うと約6000円超えてくるので諦めました。
次に選んだのがオヤイデオリジナルのシリコンゴム電線です。こちらの0.75sqにしました。PCといえばAWG表記が多いですがAWG18は0.83sqで、これより少し細いかなぐらいです。
初め、、あり合わせのケーブルでハーネスを作り動作確認しました。そのままデュアルPC構成のオーディオマシンに搭載。音を出してみると、ハッキリと高音質になったのが分かります。AC電源からフィルターを付けているので元からノイズ感は少ないですが、さらに減って堀の深い音場になり細かい音の存在感が際立ち臨場感が増してきました。
次にシリコンゴム電線のハーネスで音質チェック
やはり思っていたように音質はスズメッキ線では出なかったかった、とてもエネルギッシュになり音離れ良くホーン楽器の空気を張り裂く如くパーンとくる。細かい残響音もしっかり再現され余韻が美しい。
。
ついでにケーブルの長さを必要最低限にできたのでケース内がスッキリしました。
電源側のコネクターは通常のMolex製5557シリーズです。24ピンはそのまま、SATA電源は10ピン、ATX12Vが8ピンを使います。
ピンアサインを間違えないように注意!!
SATA電源15ピン用圧着端子
デュアルPC構成なので24ピンはスプリットになります。なので2つ用意。
ピンを圧着。その後電源側で2つの24ピンを半田で接続。
配線を考えないとぐっちゃになります。
綺麗に配線しなおし
ピン引き抜き工具は100均のピンセットを削り代用。先を少し内側に曲げてやると抜きやすい。
綺麗に配線できました。
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コメント
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はじめまして
PC、ラズパイオーディオをやっているものです
電源選びの際にこのサイトを参考にさせていただきました。
これまでSeaSonicのゴールド450Wを使っていて、先日同じメーカーのプラチナ650Wに変更してみたところ、高域のぎらつきが減り、重心が若干低くなったり音がレベルアップしました。
同じメーカーの電源でも明らかに音が変わったので改めてATX電源の重要性を実感しました。電源容量が増えたこともプラスに働いているように感じます。
ニプロンの電源の話題ではなく恐縮ですが、そこら辺はご容赦いただけるとありがたいです。
投稿: Pianori | 2020-03-01 11時09分
>Pianoriさん
>
コメントありがとうございます。
PCオーディオ界隈でSeaSonicは昔から定評がありますよね。私も昔使ったことあります。電源効率的には50%ぐらいの使用率がいいのでしょうが、オーディオ的には大は小を兼ねるというか無駄に大きいほうが好結果ですね。
最近はCPUやストレージ用の電源分離も効果が認知されてきてるので色々実験出来たらと思います。
投稿: birochan | 2020-03-02 00時01分
出来るだけ大容量の電源の方が高音質になるんですか?
投稿: アキ | 2021-05-18 01時09分
>アキさん
コメントありがとうございます
この記事を書いた後に知ったことですがDirettaの開発者曰く、消費電力の変動がノイズを発生させ音質に影響が出る。
ということだそうです。オーディオ専用であれば200Wもあれば動作します。しかし、急な負荷がかかった時に電源が不安定になることで音質に影響する可能性があるので、それなりに余裕のある容量が望ましいと思います。かと言って必要以上に大きければ音質が良くなるとは限らないと思います。
投稿: birochan | 2021-05-18 10時14分
ありがとうございます
seasonicで電源を探してみます。
投稿: アキ | 2021-05-18 22時45分
お久しぶりです。
<Direttaの開発者曰く、消費電力の変動がノイズを発生させ音質に影響が出る。
DOS/V POWER REPORTに、ニプロンを含めた各種パソコン電源のノイズなどのレポートが載っていますが、LEADEX V Gold 1000Wのデータは短期、長期共にほとんどノイズが出ていないのに、ほぼ同一の製品であろうLEADEX V Gold PRO 1000Wだとノイズが多くなっていました。よく見ると前者の検証環境はAMD ryzen7 2700X、ROG STRIX X470-F GAMING、ZOTAC Geforce GTX 1080 Mini 8GBですが、後者は AMD Ryzen 9 3900XT、ROG STRIX X470-F GAMING、NVIDIA GeForce RTX 3090 Founders Edition と、より激しく電力を使うであろう構成なのでそのせいかなと思います。
オリオスペックが販売してるオーディオ用PCはIntel Core i5-11600Tを採用してるので、音質にこだわるのであれば出来るだけ省電力な構成が望ましいのかなと思います。
Appleの製品に採用されているM1チップのような、CPUとGPUが統合されたチップあたりが良さそうですけど。
投稿: アキ | 2021-11-17 22時21分
>アキさん
>
お久しぶりです。
面白そうな企画ですね。ゲームはしないのでスペックの違いがどれぐらいの差になるのかわからないのですが、パーツの違いで電源の変動が影響しているのでしょうね。
うちの再生用はi5 8400にして、それだけでもかなり音質改善しました。一応、BIOS(UEFI)でターボブーストとスピードステップはオフにして定格動作させています。
最近CPU12Vをリニア電源から供給していて、電流メーターが0.5V位常に変動しています。JPLAY再生中はCPU使用率1%程度でも結構変動してるようです。
M1チップはいわゆるSoCですかね。省エネ高性能なのは有利ですよね。ラズパイやラテパンもSoCだからみんなそっちに行くのかも?
投稿: birochan | 2021-11-17 23時58分
あれだけ高性能なのに省電力ということは、高効率ということでありノイズも少なそうで良いですよね。
CPUとGPUを一つに纏めてあの消費電力なのは革命だと思う。
Windowsでも使えるなら1000Wとか家庭用の限界近いPC電源が必要なくなりそうですし。
それとPCの電源をようやく入れ替えました。
Seasonicの電源にしようと思ってましたが、前述の雑誌でsuper Flowerの電源が良さそうだったので、二万円程度のLEADEX PLATINUM SE 1000W-BKを買いました。
ファンレス電源かつグラボを使うのをやめたのもあるかと思いますが、声の息遣いや、パーカッションの金物等の音がよりハッキリ聞こえるようになった気がします。
投稿: アキ | 2021-11-21 02時32分