オーディオ向けSATAケーブルの作り方
2019年はオーディオ用SATAケーブルを自作し実験を沢山してきました。
SSD直結から始まり、銀メッキ線から試して、純銀線、オーグライン、+α、+Pt、等を試し、シールドの種類や使い方を試行錯誤して一応の最適解が見つかったので公開いたします。
SATAケーブルの作り方
SATAケーブルは転送用、受信用、グランド線から成り立っています。
転送用受信用は差動伝送となりそれぞれ2本ずつ使用しています。加えてグランド線が3本で合計で7本になります。
なので転送用受信用の2本の心線の種類を変えることでPCオーディオの音質が変わってきます。
一般的なSATAケーブルは銅の単線が使われているようです。
銀メッキ線では情報量が増えたようになり、純銀線では他の用途でも傾向が同じように高音域がギラギラする感じになります。しかし、シールドを適切に施すことで純銀線でも無駄なギラつきが抑えられ聴きやすくなります。
オーグラインにするとSN改善し、細かい情報量が増え全体的にフラットなバランスでと、てもSATAケーブル向きだと思いました。
しかし、オーグラインは銀と金が含まれておりとても高価です。
製作には経験上0.4㎜の単線が細すぎず太すぎずコネクターに接続しやすいですが、高価なため0.3㎜をお勧めします。
フォロワーさんからの依頼で0.5㎜も製作しましたが、音質の違いは個人的には感じませんでした。0.5㎜になるとコネクターに接続する際に間隔が狭くなりはんだ付けがしにくくなります。
心線を決めたら製作していきます。
製作手順
- 心線のツイストペアを作る
- 銅箔テープ巻き付け
- グランド線巻き付け
- カーボンシールド被せ
- コネクター接続
- RFID-100巻き付け
- メッシュチューブを被せる
- コネクター成形
心線を撚ります。
差動伝送はノイズに強い伝送方法なので撚りは必要ないですが、製作上2本をまとめることで後々作り易くなります。
必要な長さに心線を切ったら撚り合わせていきます。
2芯シールド線を使えばこの工程は省けます。
撚りのピッチをそろえ2本が均等になるように撚っていかないと長さがずれます。
撚り合わせたら導電性があるほうを外側になるように銅箔テープを巻き付けます。
デンカエレクトロンの粘着無しタイプが使いやすいです。
粘着があるとケーブルが硬くなり曲げにくいSATAケーブルになります。
巻き終わりは両面テープで留めます
転送用、受信用の2つを作ります。短く作るときは必要な長さの倍で撚りと銅箔テープ巻き、後で半分にすると楽です。
グランド線を巻き付けます。
巻き付けなくても問題はないですが、密着性を向上させるのと曲げた時、長さに余裕を持たせる為ある程度巻き付けた方がいいと思います。
グランド線はスズメッキ線0.4㎜が使いやすいと思います。
また、私は試していませんがグランド線の素材でも音質は変わるかもしれません。
カーボンシールドとして、釣り具の補修などに使われるカーボンブレードホースを被せます。被せやすくするために電線などの被覆を被せます。
カーボンブレードホースは2㎜の太さを使用します。又は転送用、受信用の2本をまとめて被せられる太さのブレードホースを使用します。
カーボンシールドはなくても構わないがオーグライン0.3㎜が細すぎるため、線を太らせたい目的もあります。シールド効果は絶大でハッキリとSN改善します。
カーボンブレードホースは切れ端が広がり易いのでホットボンドかマスキングテープで留めてから切断します。
切れ端をホットボンドで固めたら心線に触れないように長さを揃えます。
心線の被覆をある程度取ります。0.3㎜は細いのでカッターで縦に切り込みを入れ、広げて切り落とすと取りやすい。
転送用、受信用の2本をまとめてグランド線を巻き付けます。
コネクターをバイスなどに固定し盛り半田しておきます。心線にも盛っておきます。
コネクターにはんだ付けします。心線が暴れるときはピンセットで掴みながら半田付けするとやり易いです。
この時もカーボンや銅箔などが短絡しないように気を付けます。
コネクターを両側付けたら導通チェックをします。
古いマザーから取り出したSATAソケットを使って治具を作りました。
シールドがコネクターの接点部に触れて短絡していたので、シールドを切り揃えました。
短絡なく導通確認出来たら接点部をホットボンドで固めます。
ホットボンドで全体を覆うようにしないと曲げた時金属疲労で折れてしまいます。
RFID-100で先だけ覆っておきます。
全体にRFID-100で巻き付けます。RFID-100は1㎝幅ぐらいに切り出すと巻きやすいです。できるだけRFID-100を重なり合うように巻き付けます。厚みがあるのでしっかり締め付けながら巻かないと緩くなりやすいです。
RFID-100は本来シート状で1m単位でしか販売されてなく1m×1mで1万円以上するので、他に使い道がなく買えない場合は協和ハーモネット製のニッケルメッキ編組線がシールド効果が高く作業もし易くてお勧めです。
チューブを被せます。熱収縮チューブを被せても構わないですが、硬くなり扱いずらいので個人的には無くていいと思います。
PETチューブはシングルフィラメントタイプが広がり易く、コネクター接続後からでも被せられるのでお勧めです。
コネクターの成形
市販のSATAケーブルは型に樹脂を流し込み成形されています。その工程は個人でやるには難しいのでプラリペアというアクリル樹脂で成形します。
私は何本も作る為自分でアルミから原型を作り、シリコンゴムで型を作りました。
型にプラリペアを流し込みコネクターカバーを成形します。
型から出来たカバーをコネクターに瞬間接着剤で付けます。
SATAコネクターの先をプラスチック板で養生し、プラリペアを流し込んで成形していきます。
角をやすり掛けして完成です。
皆さんもオリジナルSATAケーブル作ってみませんか?
SATAコネクターはMOUSERで売ってます。が少量だと送料が高くつくので有志の方向けにヤフオクで出品中!
自作に自信はないけどオーグラインのSATAケーブルを使ってみたい方はTwitterフォローのうえDMしていただければ特注も致します。
2020.7.16追記
コメントのフッ素チューブで作ったコモンモードチョークフィルター
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コメント
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SATAケーブルって測定器でちゃんと作らないと信号反射して内部でエラー出まくるよ。
それがいい音出すための必須条件だと思ってるなら勝手にすれば良いけど。
投稿: pycoyangang | 2020-01-17 20時10分
>pycoyangangさん
>
勝手にすればいい事のご報告わざわざありがとうございます。
世に出てるSATAケーブルの実測値出してるところは見かけませんが何故でしょうね
音質的にオーディオがしょぼいと差は出にくいかもしれませんが
投稿: birochan | 2020-01-18 10時08分
お久しぶりです。ご活躍ですね。
ご存じかもですがヤフオクにコモンコードファインメットが出てますよ。
おせっかいでした。
投稿: Hamaya | 2020-07-15 18時23分
>Hamayaさん
>
お久しぶりです
実はあれ悩み中です。ただ、あの値段ならMOUSERから取り寄せて巻こうかなと思っちゃいます。記事にはしてないんですが、OFC単線の被覆をフッ素チューブに付け替えてファインメットコアに巻いたらなかなか良かったので、他のコアにも検討中です。
投稿: birochan | 2020-07-15 23時58分
そうなんですね。了解しました。
いつでもいいのでまた記事にしてください。興味あります。
そういえば私も記事にしていませんがVITROPERMを入手したまま放置しています。(笑)
またのぞきに伺います。
投稿: Hamaya | 2020-07-18 16時54分
すみませんでした。追記の写真のフィルターですね。
すごいかっこいいですね。試してみたいです。
考えてみます。
投稿: Hamaya | 2020-07-18 17時06分
>Hamayaさん
>
フィルター付きケーブルは色々実験中なので完成次第纏めようと思います。
投稿: birochan | 2020-07-18 23時48分