SONY製nasneのHDDを2TBに交換する方法
nasneは地デジ、BSの録画ができて、自宅のPCや外出先のスマホから視聴できるとても便利なNAS(Network Attached Storage)です。
便利だけどデメリットとして自分でHDD交換(クローンコピー)ができませんでした。メーカー修理では2万円もします。それなら転送速度も速い2TBのBuffalo製nasne買った方がお得ですね
最近たまたま初期型nasneじゃなくてもHDD交換できることを知りました。ファームウェアVersion 1.00のある一つのファイルがあれば簡単にできるという事で挑戦してみました。
もう一台nasneがあるので備忘録としてアップしておきます
以前の記事
超便利!!nasneは外付けHDDより2台目を追加すべき&設定
HDD交換の前に
HDD交換に当たり注意事項として、新しいHDDに交換すると成功しようが失敗しようが、元のHDDにある録画番組は視聴できなくなります。なので、BluerayディスクやPC TV PlusでPCにダウンロードするかBuffalo製nasneにバックアップするなどの対策をしてからHDD交換に挑みましょう。
PC TV Plusの記事
- ファイルの用意
nasneのHDD交換にあたって必要なファイルがあります。
ファームウェア1.00の00550066.dlm(ファイルサイズ 21,287,161バイト) というファイルです。
このファイルを入手するには初期型cech-znr1jのファームウェア1.00から1.50までのHDDから取り出す必要があります。cech-znr1jのHDDのパーティション1にある33004400フォルダーがバックアップフォルダーなので、中にあるVersion 1.5以前の00550066.dlmがあれば使えるのでこれを取り出しておきます。あとはあるところ(海外)で検索すると落ちてたりします。
- Linux環境
後は新品のHDDとパーティションやファイル配置の為にLinuxが稼働しているPCを操作する必要があります。え?Linuxと思われる方もいるかもしれませんが、GUIが使いやすいUbuntuを利用すれば難しいコマンドはコピペで何とかなるので挑戦してみましょう。
- 交換用HDD
HDDは2.5インチで9.5mm厚(7㎜でも可)でSATA接続であれば容量、回転数、なんでもOK!
私はMQ04ABD200を使いました。元のHDDはHTS541010A9E680でした。
分解はケーブルとB-CASカードを外しておき、本体の4つのネジ蓋をマイナスドライバー等で外し、ネジを外し、ランプ側から見て右のカバーを外し、2つのアンテナの間の爪とUSBコネクタにかかる爪を外し、コネクタ側の基板を上に持ち上げると外れる。詳しくはググれば出てくる
※2TBのHDDになるとフォーマット時間が10時間ぐらいかかったので、時間帯を考えて作業しましょう。
コマンド入力の流れを動画にしました。
nasneのHDD交換手順
- Linux環境の準備
初めにUbuntuなどのLinux環境を稼働しておきます。Linuxにはとても便利な機能があり、USBメモリにLinuxのISOイメージを格納して普段使いのPCに挿すことでUSBメモリーからLinuxがブートできるようになります。
ブート用USBメモリー作成にはRufasやBalenaEtcher等のソフトがあります。初めての方はBalenaEtcher が使いやすいと思います。Ubuntuの最新版のISOイメージをダウンロードしBalenaEtcherを起動させISOイメージを選択し作成するだけで出来上がります。これがライブUSB(ライブブートUSB)になり、Ubuntuのお試しやインストールができます。
ライブUSBができたらPCに挿しておき、交換用HDDも接続してBIOS起動画面のBOOT MENUからUSBメモリからブートします。交換用HDDはMBR(Master Boot Record)で用意しておいてください。新品は大体MBRになっていると思う。Windowsなどからディスクの管理で開くと確認できます。
- 交換用HDDのパーティション作成
先ずHDDのパーティションを3つ作成します。
Ubuntuにログインしたらターミナル(端末)を開きます
コマンドを入力する際、管理者権限が必要になるので
$ sudo suでEnter(コマンドはコピペできます$から後ろがコマンド)
管理者パスワード入力
末尾が#になります。
2023.8.19追記
作業前のおまじない新規インストールでもアプデとアップグレードを必ず実行
# apt update
# apt upgrade
nasneのフォーマットはXFSなのでパッケージをインストールします。
# apt-get install xfsprogsでEnter
交換用HDDの情報を確認
sdbは使用環境によって異なります。Ubuntuが入ってるHDDがsda
※画像のHDDは60GBで進めています
# fdisk -lでEnterしてUSBメモリのデバイス名を確認
# fdisk -l /dev/sdbでEnterしてディスクラベルがdosであることを確認
fdiskを使ってパーティションを作成
mと入力するとヘルプ(コマンド等)が開くので見ておくといいでしょう
パーティション1
nでEnter (新規パーティション)
pでEnter (基本パーティション)
1でEnter(パーティション番号)
2048でEnter(パーティションスタート位置)
526335でEnter(パーティション終わり位置)
続いてパーティション2
nでEnter (新規パーティション)
pでEnter (基本パーティション)
2でEnter (パーティション番号)
526336でEnter(パーティションスタート位置)
2623487でEnter(パーティション終わり位置)
続いてパーティション3
nでEnter (新規パーティション)
pでEnter (基本パーティション)
3でEnter (パーティション番号)
2623488でEnter(パーティションスタート位置)
そのままでEnter(パーティション終わり位置)
規定値の値はHDD容量で変わります
パーティション1にブータブルフラグをセットします
aでEnter
1でEnter
pでEnter
内容確認します(パーティション番号と起動⋆マークとサイズを要確認)
セクターサイズが4096(Advanced Format TechnologyのHDD)になってても多分問題なし。気になる人はセクタサイズ揃えて(やり方は検索して)もいいと思います。
- パーティションのフォーマット
# mkfs.ext3 -L sys1 /dev/sdb1でEnter(パーティション1をラベル名sys1で初期化)
# mkfs.ext3 -L sys2 /dev/sdb2でEnter(パーティション2をラベル名sys2で初期化)
3つ目のパーティションフォーマットについてはHDD容量によってagcountの値でパフォーマンスに影響するらしいです。1TBのnasneではagcountが4なので2TBなら8がセオリーの様だけど、9がいいという人もいるらしい。
私は2TBのHDDで下記の通りにしました。ファイルの転送速度は以前と同様でした。(正直agcount 4のままでも変わらねんじゃね?)
# mkfs.xfs -f -m crc=0 -d agcount=8 -i size=256,attr=2,projid32bit=0 -L user -n ftype=0 -s size=512 /dev/sdb3でEnter
(パーティション3をラベル名userで初期化しつつ諸々設定)
- ファイル配置
フォーマット出来たら、必要なファイルを交換用HDDのパーティション1(sdb1)に配置します。
配置が間違ってると起動しなかったり、不正なHDD認定されてHDDが使えなくなります(別のHDDでリセットすれば使える)。
用意したファイル00550066.dlmはUbuntu(Linux)のどこか(ここではtmp)のディレクトリ(フォルダー)に置いて(コピペして)おきます。
- マウントポイント作成。(交換用HDDをLinuxでファイル書き込みできるように”sys1”というマウントポイントを”tmpディレクトリ”に作成しそこにHDDをマウントします)
# mkdir /tmp/sys1でEnter - HDDのsdb1(パーティション1)をマウントポイント sys1にマウントします
# mount /dev/sdb1 /tmp/sys1でEnter - Ubuntuのtmpディレクトリに置いておいた00550066.dlmをコピペします。
# cp -a /tmp/00550066.dlm /tmp/sys1でEnter - 新規ディレクトリ(フォルダー)を作ります
# mkdir /tmp/sys1/55006600でEnter - 00550066.dlmを新規ディレクトリにコピペ
# cp -a /tmp/00550066.dlm /tmp/sys1/55006600でEnter - touch コマンドで00110022.dlmを作成(これが無いと上手く起動しないらしい容量0のままでOK)。または、ddコマンドでも作成可能です。
# touch /tmp/sys1/00110022.dlmでEnter - HDDをアンマウントします
# umount /dev/sdb1でEnter
配置ツリー
treeコマンドを使うと下記の様に見れるはず
tree -f dir
├── sys1
│ ├── 00110022.dlm
│ ├── 00550066.dlm
│ └── 55006600
│ └── 00550066.dlm
├── sys2
└── user
パーティション1をGUIで見てみましょう
55006600のディレクトリ(フォルダー)と00110022.dlmと00550066.dlmのファイルが配置されています。55006600の中にも00550066.dlmがあります。
Ubuntuをシャットダウンし交換用HDDをnasneに接続し電源ケーブルを接続します。LANやアンテナは繋がないでOK。
2分位すると電源(緑色)と REC、IP ステータスのインジケーターLEDランプが点滅します。
nasneのhdd交換してこの様に光ると成功 pic.twitter.com/1RUW9fxY2F
— リバーストンびろちゃん (@zusakkohiro) March 17, 2023
ランプが点滅 したら一度電源ケーブルを外し、LANケーブル、アンテナ、B-CASカードを接続し電源を入れます。
Windowsのexplorerを開きネットワークを開くと交換したnasneEA3C38(本体に番号記載)のアイコンが出てくると思います。アイコンをクリックしnasne-homeをクリックしindexをクリックするとnasne-HOMEが開きます。
基本設定を開くとシステムソフトウェアがVersion 1.00になっています。
とりあえず成功です!
nasne(ナスネ)™システムソフトウェアアップデートを開き
「同意してアップデートを実行する」をクリックしてアップデートします。
システムソフトウェアがVersion 2.60になれば完成です。
内蔵HDDも空き容量が1.8TBになっています
お疲れさまでした!
nasneに接続したHDD内のファイルが展開されると下記画像の様に作った55006600のディレクトリは消えて新しいディレクトリができます。容量0バイトだった00110022.dlmが148バイトになり、新しいディレクトリ内にもファイルができています。また、sys2(パーティション2)にもいくつかのディレクトリができます。
ファイルを変更するとファームウェアバージョンを任意のバージョンに変更可能だが、バイナリ結合などするそうなのでやりたい人はググって自己責任でやってみてください。一度Version 1.51以降にするとVersion 1.00にはできなくなるので、リセット&保存用に使わなくなったHDDにVersion 1.00の状態で保存しておくと便利です。
- まとめ
一度お試しでHDD交換をしたら、いくつか間違ったところがあったようで、起動に失敗したり、元のHDDがエラーで読み込めなくなったりとしましたが、いくつかの点を注意して作業すれば新品HDDをちゃんと稼働させることができました。
パーティションごとにイメージコピーでもできますが、結局パーティションを作成するのは変わらないし、ファイル配置したほうが作業的に楽だと思います。
ジャンクnasneで交換される方は基板が生きているもの、LAN接続などが壊れていないものを選ぶのが無難です。
- 今回参考にさせていただいた記事
nasneのハードディスク交換♯2 HDDの修復さん、起動エラーのまとめが大変参考になりました。
SONY 版 nasne の HDD 交換・換装|ちよさん、コマンド入力の流れが見やすい
nasneの正しいHDD交換方法? : わすれそうなことさん、パーティション3のフォーマットやファイルコピペで参考にしました
これから挑戦される方に少しでもお役に立てれば幸いです。久々のブログになりましたが最後までお読みいただきありがとうございます。
TOSHIBA AT ハードディスクドライブ 2TB MQ04ABD200 | ||||
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コメント
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nasneのHDDが交換可能であることを知り、その方法や必要なものを調べて、やっと取り揃えられたのでやってみようとした時、運よくこのブログの方法を最初に試しました。
大正解でしたのでお礼も兼ねて投稿させていただきます。
Linuxもほとんど扱えず、というか面倒なので覚えづらく、今回使用したものはDACとして使用していたラズパイにubuntu20.04LTSをいれ、使いこなすまで何日かかかりました。
またHDDもほとんど知識がなく、中古の1TBのものを使用しましたがGPT形式になっていて、MBRにすることなど初期化するのに時間を要しました。(結局windowsを使用して行いました。)
それから00550066.dlmファイルをネットで探すのに苦労しました。もうどうやって探したか忘れてしまいましたが、検索の仕方次第で運のいい方はすぐ見つかるのではないかと思います。
HDDのフォーマットは2TBで10時間とのことだったので5時間は覚悟してしていましたが、このブログのお陰でかかった時間はコピペする時間と画面を確認する時間ぐらいで、HDDが完成した時はこんなにスムーズにいっていいんだろうかと思ってましたが、基板に取り付けて電源を入れてみると正常に動作しました。
フォーマットの過程で、当方のHDDはセクターサイズが物理の方が4096バイトでしたが大丈夫でした。
ブログの内容は親切丁寧そして詳しく記載されており、本当に書かれている通りに実行すると完成にたどり着くという完璧なものでした。
このブログを作成するのに相当な時間を使われたことと思います。
改めて感謝申し上げます。
今後ともご活躍されることを願っております。
投稿: H.M | 2023-12-09 21時25分
>H.Mさん
コメントありがとうございます励みになります。そして換装成功おめでとうございます!
LinuxはCLIが面倒くさいですね。
必要ファイルは記事書いてる時は海外のサイトにありましたが既にサイト自体リンク切れでした。申し訳ないです。今のところ、日本のサイトに拾えるところがあるようです。
また、4kフォーマットのHDDで換装できたとの報告ありがとうございます。
投稿: birochan | 2023-12-10 16時02分